EU、機内持ち込み手荷物・ハンドバッグやリュックサックなどへの追加料金を禁止へ 。格安航空への追及強まる

EU議会、持ち込み手荷物の無料化に賛成票

EUの欧州議会交通・観光委員会が、航空会社による機内持ち込み手荷物の追加料金を禁止する方針に賛成票を投じた。これにより、EU域内を旅行する乗客は、ハンドバッグやリュックサックなどの個人用バッグと小型の手荷物1つを、無料で機内に持ち込む権利を持つことになる。

手荷物のサイズと重量が明確化

新ルールの下では、個人用バッグの最大サイズは40×30×15センチ、小型の手荷物は最大100センチ(3辺の合計)かつ重量7キロまでと定義されている。これらの範囲内であれば、航空会社が追加料金を課すことは禁止される。

欧州議会は、「明確なサイズ定義と無料持ち込みの権利は、不当な追加コストを回避するための基本的権利である」と述べた。また「より公平で効率的なシステムの実現には透明性が不可欠だ」とも強調している。

2011年のEU裁判所判決にもとづく動き

今回の動きは、2011年にEU裁判所が「合理的なサイズと重量の手荷物に追加料金を課すことは違法」と判断した判決を受けたものである。しかし、これまで「合理的」の定義が曖昧だったため、航空会社ごとのポリシーにばらつきがあり、乗客の混乱を招いていた。

格安航空会社に対する批判の高まり

最近では、欧州各国の消費者団体が、格安航空会社による手荷物料金の徴収がEU法に違反するとして、集団で苦情を申し立てていた。名指しされたのは、ライアンエアー、イージージェット、ウィズエアー、ノルウェージャン、ブエリング、トランサヴィア、ボロテアなどの格安航空各社である。

その他の乗客保護強化策も進行中

今回の手荷物料金禁止だけでなく、欧州議会では他にも乗客保護を強化する規定が提案されている。たとえば、航空券販売時には合計金額を早期に明示する義務や、12歳未満の子どもが保護者と同じ席に座れるようにすることが盛り込まれている。

さらに、フライトの大幅な遅延やキャンセルが発生した際には、航空会社が48時間以内に補償手続きを開始し、14日以内に払い戻しを完了させるよう義務づける規定も含まれている。

立法化は2025年7月中が目標

今後は、EU加盟国との協議を経て、2025年7月に法案が欧州議会で正式に採決される予定である。実現すれば、EU域内の航空旅客にとって、より公平で明確な旅行環境が整うことになる。

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