2025年3月1日から、オランダの市民統合試験(Inburgeringsexamen/A2レベル)のスピーキング試験が新しい形式に変わった。永住権やオランダ国籍を取得するために避けては通れないこの試験。この変更は、受験者の実際の会話能力をより正確に評価することを目的とされている。
主な変更点:選択式問題の廃止
これまでの試験では、スピーキング試験の一部として12問の選択式問題(問題13〜24)が存在していた。しかし今回の変更で、この選択式パートは完全に削除され、すべての問題が口頭で答える形式となった。
問題数は従来の24問から16問へと減ったが、試験時間(35分)は変わらない。すべての回答を声に出して録音する必要がある。
新形式の意義とその影響
変更に戸惑う受験者も多いかもしれないが、実はこの変更は受験者にとって有利とも言える。旧形式では、スピーキングが得意でも選択式問題でつまずくと不合格になるリスクがあった。新形式は純粋に「話す力」に焦点を当てており、より実践的で公平な評価につながる。
新しいスピーキング試験の構成
1〜4問目:短いビデオを見て、それに関する質問に答える
5〜8問目:1枚の画像に関する二つの質問に答える
9〜12問目:2枚の画像から1枚を選び、それに基づいて二つの質問に答える
13〜16問目:3枚の画像を見て、それぞれについて話す
旧形式 vs 新形式|オランダ市民統合スピーキング試験の比較
項目 | 旧形式(〜2025年2月まで) | 新形式(2025年3月〜) |
---|---|---|
問題数 | 24問(うち12問は選択式) | 16問(すべて口頭) |
回答方式 | 前半:選択式(13〜24) 後半:マイクで音声録音 | すべての問題に音声で答える |
試験時間 | 約35分 | 約35分(変更なし) |
合格条件(旧) | 選択式で9問以上正解しないと、後半の採点されない | 合格条件の詳細は非公開(全問がスピーキング対象) |
試験の流れ | 選択式 → スピーキング | スピーキングのみ(順番に進む) |
出題形式の例 | 選択肢選び + 簡単な口答 | ビデオ・画像・自由発話型に統一 |
重視される能力 | 単語・リスニング+発話力 | 会話力(文の構造・動詞の使い方・流暢さ) |
周囲の環境 | 他の受験者と同室、同様 | 同上(音が気になる環境で実施) |
選択式の影響 | 選択ミスで不合格の可能性あり | すべて口頭のため、話す力だけで評価 |
全体としての特徴 | ミックス型、運要素あり | 話す力に特化、公平性と実践性が向上 |
旧形式は選択式問題が影響する「二段階型」で、スピーキングが得意でも前半の失点で不合格になるケースがあった。一方、新形式は最初から最後まで「話すこと」に集中できる構成になっており、実生活での会話力がより正確に測られる試験へと進化している。