オランダ政府は「偽装自営業(schijnzelfstandigheid)」に対する規制の執行を開始したが、自らの組織内での問題解決には大きな困難を抱えている。税務当局(Belastingdienst)が今月より取り締まりを開始したにもかかわらず、政府省庁は問題の規模について明確なデータを提示できていない。
オランダの放送局BNRが主要な省庁に対し、誤って自営業者と分類されている可能性のあるフリーランス労働者の数を質問したが、いずれの省庁も具体的な回答を示すことができなかった。
「第1四半期末までに誤分類されたフリーランスの人数を把握することを目指している」と複数の省庁の担当者は述べた。しかし、税務当局の執行が今月すでに開始されていることを考えると、この対応は大幅に遅れている。
偽装自営業者とは
偽装自営業者とは、形式上は自営業者として登録されているものの、実際には特定の企業の指揮命令下で働き、被雇用者と同様の労働条件にある人々を指す。このような状況では、労働者は社会保障や労働者保護の対象外となり、不公平な競争や労働条件の悪化を招く可能性がある。
オランダ政府は、労働市場の公平性と労働者の権利保護を強化するため、2025年1月1日から自営業者(ZZP)に対する規制を厳格化する方針を打ち出した。この動きは、偽装自営業者の問題に対処し、労働者が適切な社会的保護を受けられるようにすることを目的としている。
オランダでは、近年、自営業者の数が増加傾向にあった。特に建設業、物流業、飲食業などでこの傾向が顕著だったが、2025年1月から税務当局が偽装自営業者の取り締まりを強化することを受け、多くの人々が自営業を辞めている。
新たな規制の内容と影響、課題
2025年1月1日から、税務当局は偽装自営業者に対する取り締まりを強化する。これにより、企業が労働者を自営業者として誤分類し、社会保障費の負担を回避することを防止する。具体的には、企業が労働者を自営業者として扱う際、その労働者が実際には被雇用者として分類されるべきかどうかを厳密にチェックし、違反が認められた場合には罰金や是正措置が課される可能性がある。
今年の罰則適用は比較的寛容なものとなる見込みだが、税務当局は警告や追徴課税を行う方針を明らかにしている。財務省の報道官は「政府省庁も他の組織と同様に扱われる」と述べ、税務調査官が独立して調査対象を決定することを強調した。
この厳格な取り締まりの影響はすでに企業にも及んでおり、商工会議所によると、フリーランス労働者の数は12月に初めて減少に転じた。この傾向は、誤分類リスクを懸念する企業の慎重な対応が一因とされている。
これは政府自身が企業やフリーランスに課した規制の影響を今、身をもって経験している状態、省庁にとっての鏡となるだろうと指摘されている。つまり政府自身が多くの自営業者と仕事をしており、自らの組織内で規制を適切に実施できるかどうかが、今後の焦点となる為、この問題の複雑さを浮き彫りにしている。