アムステルダム、子ども向け無料公共交通プログラムを2027年まで延長。単なる福祉政策ではなく、都市の未来を見据えた戦略的な投資。

オランダのアムステルダムは、2023年に4歳から11歳の子どもを対象に実施した4か月間の無料公共交通機関利用の試行プロジェクトの成功を受け、2024年夏にも6か月間の同様のサービスを提供。当初、2025年で終了予定だったこのプログラムは、さらに18か月延長され、2025年7月12日から2027年1月3日まで継続されることが決定された。

この画期的な取り組みは、都市の未来を見据えた重要な一歩で、単なる福祉政策ではなく、都市の未来を見据えた戦略的な投資と言える。子供たちに移動の自由を与えることで、より活気ある、持続可能な都市づくりにつながることが期待されている。

プログラムの概要

  • 対象期間:2025年7月12日から2027年1月3日まで
  • 対象年齢:4歳から11歳の子供
  • 利用可能時間:毎日午前7時から午後9時まで
  • 利用可能な交通機関:GVBが運営するバス、トラム、地下鉄

この期間中、保護者は子どものc個人用OVチップカードに無料の乗車サブスクリプションを登録し、毎日午前7時から午後9時までGVBのバス、トラム、メトロを無料で利用できる。
(※) オランダで公共交通機関を利用する際に必要となるICカードの一種

2023年には市内で約100万回の公共交通機関の利用があり、子どもたちは市内の別の地域への外出や友人訪問が容易になったとされている。
オランダの他の都市、例えばユトレヒトやロッテルダムでも、子どもたちが無料で公共交通機関を利用できる試行が行われている。近年、公共交通機関の料金が上昇し、多くの家族がその高額な費用を負担できなくなっている現状において、これらのプログラムは重要な取り組みとなっている。

このような無料公共交通プログラムは、子どもたちの移動の自由度を高めるだけでなく、将来的な公共交通機関の利用促進や環境負荷の軽減にも寄与することが期待されており、家族の経済的負担を軽減し、都市全体の社会的包摂を促進する効果もある。

アムステルダム市のこの取り組みは、他の都市や国々にとっても参考となるモデルケースとなっている。公共交通機関の無料化は、利用者数の増加や交通渋滞の緩和、環境への配慮など、多くの利点がある。
例えば、ルクセンブルクでは2020年2月29日から全国で公共交通機関が無料化され、エストニアのタリン市でも2013年から市民に対して無料の公共交通サービスが提供されている。
これらの事例は、公共交通機関の無料化が都市の持続可能性や住民の生活の質向上に寄与する可能性を示し、都市の将来を見据えた持続可能な交通政策の一環として、高く評価されるべき取り組みと評価されている。

上部へスクロール