オランダでは、最近導入された育児休暇制度を利用する親の数が急増していることが、新しい統計から明らかになった。
オランダで育児休暇を取得する新しい親が増加
育児休暇制度の2年目にあたる2023年8月から2024年8月の間に、UWVには17万件以上の育児休暇申請があり、そのうち約90%が承認された。前年の同期間には14万件の申請があり、約20%の増加が見られた。
さらに、過去1年間に受け取った申請の約40%が父親からのものであったと報告されている。前年は父親からの申請が33%だったため、父親の育児休暇取得が大幅な増加傾向にある。依然として母親の方が育児休暇を取得する割合が高いものの、男女の比率は徐々に均等化しつつある。
平均して、親たちは9週間の有給育児休暇のうち8.2週間を取得しており、パートタイム労働者の方がフルタイム労働者よりも育児休暇を取得する傾向が強い。
オランダにおける複数の育児休暇制度
2022年8月から利用可能となったこの育児休暇制度により、新しい親は子供が生まれてから1年以内に9週間の有給休暇を取得できる。この期間中、親は通常の給与の70%を受けとることができる。
オランダでは、この有給育児休暇に加えて、すべての新しい母親が取得できる16週間の産休や、父親やパートナーが取得できる6週間のパートナー休暇(1週間は全額支給、残り5週間は70%支給)、そして子供が8歳になるまでに取得できる17週間の無給育児休暇など、さまざまな育児休暇制度が用意されている。
しかし、これらの制度が複雑に入り組んでいるため、混乱を引き起こしていると指摘もある。
オランダでの育児休暇取得の動向は、男女平等や働き方改革を進める重要なステップとなっており、今後もさらなる改善が期待されている。
日本の育児休暇制度
一方、日本では、男女ともに育児休業法に基づいて育児休暇を取得する権利があります。日本の育児休業は、子供が1歳になるまで(条件により最長で2歳まで)取得でき、雇用保険から育児休業給付金が支給される。給付金は、最初の6か月間が給与の67%、その後は50%となっており、全期間を通じて休業中の収入を一定程度維持できる仕組みとなっている。
また、2021年には「パパ・ママ育休プラス」という制度が導入され、両親がともに育休を取得することで、1年間ではなく1年2か月の育休が可能になった。さらに、2022年には、企業に父親が育児休暇を取りやすい環境を整える義務が課されるなど、政策的な後押しも強化されている。
現実には日本では依然として父親の育児休暇取得率が低い状況が続いている。政府の調査によると、2022年における父親の育児休業取得率は約17%と、オランダの取得率40%に比べてかなり低い。近年、企業が育休取得を推奨する動きが広がりつつあるものの、依然として「育休を取ることでキャリアに悪影響を与えるのではないか」という不安や、長時間労働文化が根強く残っているため、父親の育休取得は進んでいないのが現実である。
今後、日本がオランダのように父親の育児参加を促進するためには、制度面だけでなく社会的な意識改革も必要とされている。