オランダの住宅市場では、住宅価格の上昇により、平均的な家を購入するためには、貯蓄なしで年収約95,000ユーロ(約1500万円)が必要となっている。住宅市場データを扱うCalcasaによる計算によると、オランダの平均住宅価格は現在452,000ユーロ(約7300万円)に達しているという。家を買うために必要な収入は平均年収の2倍以上となっている。
このデータは、多くの初めての購入者や単身者にとっては驚きではなく、1つの収入だけでは家を購入するのが特に困難であることを意味している。オランダの平均給与は年間44,000ユーロ(約700万円)であり、Calcasaが見つけた平均的な家を購入するために必要な95,000ユーロの半分以下となっている。
オランダの住宅不足の原因としては、急速な人口増加、都市化、供給と需要の不均衡や外国人の投資目的で不動産購入などが挙げられている。また都市部ではAirbnbなどの民泊に利用する為に物件を利用するケースもあり、価格が高騰する原因となっている。その対策として例えば、アムステルダムでは不動産投資目的での住宅の購入が禁止となっており、Airbnbなどの民泊を規制する対応がとられている。
現状では2つの平均収入でも平均的なオランダの家を購入するには十分ではなく、一方または両方の購入者が平均以上の収入を得る必要がある。政府は、より持続可能な住宅を購入する人々に補助金を提供する特別基金や、住宅ローン制度などを含む措置を通じて、高い不動産価格に対処しようとしているが、オランダの賃貸者と購入者のための住宅危機は依然として続いているのが現状である。
多くの人々は、オランダの高い住宅価格を下げる主な解決策として、住宅供給の増加を提案。これは、開発業者により多くの家を建てることを奨励し、新築の購入を奨励することであり、オランダ政府も最近、これを新しい住宅政策および環境政策の重要な部分としている。なぜなら、新築物件はしばしばよりエネルギーレベルなど高い持続可能性基準に基づいて建てられるからである。
しかし、この提案には反対意見も多い。新しい家を買うことは、オランダが不足している土地を使用する為である。特に、オランダ経済の大きな部分が農業に依存していることを考慮すると、農業従事者などからの反対は多いのである。
これとは別に、緑地の価値についても言及されることが多い。オランダの多くの人々にとって、野外、森、野原での時間を過ごすことは、オランダでの生活の重要な部分であり、農村地域での新しい住宅開発によって脅かされる可能性がある。これはしばしば地元の人々にとって難しい話題となり、地元地域に住宅の選択肢が増えることを喜ぶ人もいれば、緑地が住宅地に置き換えられることに不満を持つ人もいるのである。