マクラーレン・グループが所有する電動スクーター・ブランド、「Lavoie」(ラヴォイド)は、破産したオランダの電動自転車ブランド・VanMoof(ヴァンムーフ)を買収することで合意したと発表した。Lavoieは事業を拡大し、VanMoofのビジネスをさらに発展させることを目指している。
Lavoieとマクラーレン・アプライドは買収の条件を明らかにしていない。マクラーレン・アプライドのニック・フライ会長は、VanMoofを安定させるために、数千万ポンドの投資が行われると語った。
この買収がヴァンムーフの顧客に与える影響はまだ不明である。買収が最終的に完了するのは9月4日の予定で、その後VanMoofの顧客に対する影響の詳細が発表される予定。
マクラーレン・アプライド社はVanMoofの部門マネージャーを引き留め、VanMoofが雇用していた優秀な人材を引き留めるか再雇用する予定であると語っている。また、LavoieはVanMoofの名前で電動自転車の販売を継続し、自社のe-スクーターを同じ名前で再ブランド化することも検討すると述べた。
「Lavoie」は、高級スポーツカーメーカーのマクラーレン・オートモーティブと、そのモータースポーツ事業であるマクラーレン・レーシングと同じ親会社に所有されている。後者は40年前に設立され、F1チームは8度のコンストラクターズ選手権と12度のドライバーズ選手権を獲得している。F1チームは183レースに参戦し、ドライバーは313レースで2位または3位を獲得している。
VanMoofは2009年に誕生し、タコ・カーリエとティーズ・カーリエ兄弟によって「完璧な都市用自転車」を作るために設立された。その特徴はミニマリストなデザインで、数年後、同社は展開する自転車の全てを完全に電動自転車に切り替えた。さらに、デザインと製造プロセスを再構築する自転車メーカーとしての地位を確立。その革新的な試みは自転車業界のテスラと称されていた。
VanMoofは2023年7月18日に破産宣告を受けた。破産は年間数千万ユーロの損失を繰り返したことが原因とされている。VanMoofは自社製の独自規格の部品を多く使用しており、会社の成長とともに保証修理費用が高騰していた。保証範囲の修理、メンテナンス問題は深刻であった。販売された自転車の多くに欠陥、故障が多発、VanMoofは修理に多額の費用を費やした。スマートフォンの専用アプリと連動して鍵の解錠や各種設定が行え、GPSの追跡システムを内臓したり構造は複雑で、部品の多くは独自の規格で組まれており、修理には一般の自転車屋ではなくVanMoofに持ち込むしかなく、故障した電動自転車に関する多くの苦情がソーシャルメディアで共有されていて、この点がボトルネックになっていたとされる。破産を宣言して以来、VanMoofの管財人は再出発の可能性を調査し、複数の事業者と話し合いを行ってきた。VanMoofとLavoieの協議に関するニュースは8月中旬に流れた。
VanMoofは破産宣告を受けた後、オランダでは現在、自転車を販売していない。VanMoofは世界中でおよそ20万台の自転車を販売し、主要都市に20の小売店を構えていた。米国、英国、フランス、日本、アイルランド、オーストリア、デンマークの店舗では、現在も同社の自転車が販売されている。VanMoofはアメリカと台湾に子会社があり、それらは倒産していないが、苦境に立たされており、再建が急がれている状況である。