オランダで新車の平均価格が5万ユーロ超えに。今後は中古車やリースへのシフトがさらに進む可能性が高い。

オランダで新車の平均価格が5万ユーロを超え、多くの消費者が購入できない水準に達していると、オランダ王立ツーリングクラブ(ANWB)が警鐘を鳴らしている。


平均価格は50,026ユーロ 5年前から急騰

自動車業界団体RAI協会によると、今年の新車平均価格は50,026ユーロに達し、2020年の38,500ユーロ未満から大幅に上昇した。運転にかかる費用がますます高くなっており、購入価格だけでなく、保有、メンテナンス、燃料費も重くのしかかっている。


物価上昇率を超える新車価格の高騰

デルフト工科大学の交通政策学教授ベルト氏によれば、新車価格の上昇はインフレ率を大きく上回る。2005年の新車平均価格は24,608ユーロであり、56%のインフレを加味しても38,388ユーロにとどまるが、現在は50,026ユーロに達している。

また、現代の車は1970年代に比べて大幅に重量が増しており、一般的なセダンタイプの車の重量が700〜800キロだったのに対し、今の車は1,400〜1,500キロに達しているという。


安全・快適装備の標準化が価格上昇に拍車

現代の車はクランプルゾーン、ABS、複数のエアバッグ、前後カメラ、自動車間距離制御、エアコン、インターネット接続、シートヒーターなど、あらゆる安全・快適機能を備えている。これらが当たり前に求められるようになったが、その分コストも上がった」と指摘されている。


新車より中古車、リースが人気

新車の価格はガソリン車が34,884ユーロ、電気自動車が50,019ユーロ、プラグインハイブリッド車が71,599ユーロと大きな差がある。ガソリン車の価格は2005年とほぼ同水準であり、6〜8年落ちの中古車を購入すれば10年近く使えるため、年間コストは過去と大きく変わらないという。

実際、新車販売は2007年以降減少し、中古車販売が大きく増えている。一方、プライベートリースの利用も拡大しており、新車購入の約35%がリース契約となっている。


所得と価格の逆転

1975年、一般的な所得は10,437ユーロで、新車価格(5,002ユーロ)の約2倍だった。しかし現在は一般的な所得が46,500ユーロと予想される一方、新車価格はそれを上回っており、所得と価格の逆転が起きている。


税負担の影響とRAI協会の提案

自動車業界団体RAI協会は「ガソリン車購入時に消費者は平均34%をVATとbpm(自動車・バイク税)として支払っている。ハイブリッドでも28%だ」と指摘し、bpmの削減や走行距離に応じた環境課税への移行を提案している。


一方で車所有率は上昇

車の価格が高騰する一方、所有率は上昇している。1975年には成人の34.5%が車を所有していたが、1995年には47.8%、2024年には63.8%に達している。だが、新車価格の上昇や税負担の重さから、今後は中古車やリースへのシフトがさらに進む可能性が高い。

オランダにおけるモビリティのコスト増は避けられず、税制改革や新たな移動手段の模索が急務となっている。

上部へスクロール