2025年、EU域内への出入国に関するルールが大きく変わる。欧州議会は2025年10月の開始を目標に「Entry/Exit System(EES)」の導入を正式に承認した。オランダを含むEU加盟国を訪れる非EU市民にとって、今後の渡航には新たな手続きが必要になる。
EES制度が正式承認
2025年7月9日、欧州議会において新たな出入国管理システム「EES」が承認された。賛成票は572、反対は42で、大多数がこの制度に賛同した形となる。導入はEU全体で同時に行われる予定で、2025年10月が共通の開始時期とされている。
開始から3ヶ月後には、非EU市民に対するEESチェックが全体の国境検問所の半分で開始され、6ヶ月後には全ての国境で完全導入される見込みである。
EES制度の仕組み
EES制度は、非EU市民がEU域内に入る際、専用の端末でパスポート情報と生体認証(指紋や顔写真)を登録することを求めるもの。これまで行われていたパスポートへのスタンプによる出入国記録に代わるものであり、より迅速な入出国を目的としている。
この登録情報は3年間保存され、情報提供を拒否した場合には入国が拒否される。また、制度はアイルランドとキプロスを除く25のEU加盟国に加え、アイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタイン、スイスにも適用される。
将来的にはFrontex(欧州国境沿岸警備庁)がパスポート情報を事前登録できるアプリの開発を進めているが、指紋の登録は依然として国境で行う必要がある。
オランダの在留許可保持者は対象外
すべての非EU市民がEESの対象になるわけではない。たとえば、オランダの在留許可(residence permit)や長期ビザを持っている者は、EESでの登録を求められない。パスポートおよび在留許可証を所持していれば、従来どおりの手続きで問題ない。
今後に向けての準備
EU域内を旅行する非EU市民にとって、EES導入は大きな変化となる。観光、ビジネス、留学などを予定している場合は、2025年10月以降の出入国時にEES対応が求められる可能性があるため、最新情報を随時チェックすることが必要がある。