オランダで個人事業主・フリーランス雇用減少へ。取り締まりの強化の影響で企業の42%が雇用削減を予定。

オランダでフリーランスの雇用が減少へ

オランダ統計局(CBS)が発表した2024年第1四半期の「オランダ企業動向調査(COEN)」によると、2024年にフリーランスを雇用した企業のうち、42%以上が今年のフリーランス雇用を減らす予定であることが明らかになった。主な理由として、オランダの自営業法(DBA法)の厳格な施行が挙げられる。

フリーランス雇用の減少が予想される背景

オランダ税務当局(Belastingdienst)は今年初めから「雇用関係整理法(DBA法)」の施行を強化しており、「見せかけの自営業(偽装フリーランス)」が行われていないか厳しくチェックしている。この取り締まりの影響で、多くの労働者が自営業を辞めるケースが増えているだけでなく、多くの企業がフリーランスの採用を控えるようになっている。

偽装自営業が問題視される事例:

配送業界を例に挙げると、特にフードデリバリーサービスなどで、多くの労働者がフリーランサーとして登録されている。しかし、これらの労働者は実際には特定の企業の指示の下で働いており、労働条件も従業員と類似しているため、偽装自営業の疑いが持たれている。
このような事例は、労働者の社会保障の欠如や不公平な競争を引き起こしており、労働者が名目上はフリーランスとして扱われるため、雇用契約を結んだ従業員に適用される社会保障制度(失業手当、病欠時の収入補償、退職金積立など)を享受できない。
また労働者が病気や失業に備える保険を自己負担で加入する必要がある一方で、多くの人が十分な準備をしていないため、経済的な脆弱性が高まる。オランダ政府はこれらの慣行を是正するために規制強化を導入する。

オランダでは企業の約3分の2がフリーランス労働者を雇用しているが、そのうち42%が今年の採用を減らすと回答。54%の企業は現状維持を予定している一方で、3%の企業はフリーランスの採用を増やすと回答している。

特に建設業界で最も大きな影響

フリーランス雇用の減少が最も顕著なのは建設業界。建設関連企業の6割以上がフリーランスの雇用を減らす予定であり、そのほぼ全ての企業がDBA法の厳格化を理由としている。同様の傾向は、飲食業界や農業分野にも見られるが、建設業界ほどの規模ではない。

オランダの労働力不足により依然として必要なフリーランス

一方で、多くの企業がフリーランスの採用を控える中でも、39%の企業は労働力不足を補うためにフリーランスの雇用を継続すると回答。

また、フリーランスの採用を継続する理由として、特定の業務における専門知識や経験を持っていること(22%)、人員配置の柔軟性(19%)、生産ピーク時の追加労働力としての必要性(12%)が挙げられる。

今後の見通し

DBA法の厳格な適用は、フリーランスの働き方だけでなく、オランダの労働市場全体に影響を及ぼしている。企業側は新たな法律への適応を迫られ、フリーランス側もより明確な契約や合法的な働き方を求められることになる。労働力不足の問題を抱える中で、今後オランダの企業がどのようにフリーランスと協力していくのか注目される。

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