オランダ政府、財政赤字解消のため消費税を(VAT)を現在の21%から21.4%に引き上げる方針。オランダの消費税の仕組みとは!?

オランダ政府は財政赤字を解消するため、現在21%の標準付加価値税(VAT)を来年から21.4%に引き上げる計画を進めている。この増税により、衣類、自動車、ストリーミングサービスの料金などが値上がりすることになる。

オランダの標準付加価値税(VAT: Value Added Tax)は、日本の消費税に相当する。
VATは商品やサービスの販売時に課される間接税で、事業者が価格に上乗せして徴収し、最終的に消費者が負担する。オランダでは現在、標準税率**21%が適用されており、食品や医薬品などの一部必需品には軽減税率9%が設定されている。

日本の消費税と異なる点として、オランダでは「ゼロ税率(0%)」が適用されるケース(国際輸送や輸出品など)もある。また、日本では事業者が納める消費税の仕組みとして「インボイス制度」が導入されたが、オランダでは以前からVAT番号を使った仕組みが整備されている。

2026年には標準VATのさらなる引き上げも検討

政府は当初、本や美術館、劇場、スポーツなどに適用される9%の軽減税率を21%に引き上げる案を検討していたが、これに対する反発が大きく、最終的にこの提案は撤回された。その結果、12億ユーロの財源不足が生じたため、新たな対策として標準VATを21.4%に引き上げる案が浮上している。

この増税により、政府は約13億ユーロの追加財源を確保できる見込みだ。ただし、この税率が最終的に確定するかどうかはまだ不透明であり、政府は現在、今後数週間以内に議会に提出するための提案をまとめている。春には決定が下される予定だ。

しかし、この計画が承認されるかどうかは不明だ。娯楽関連のVAT引き上げが強い反発を受けたことを考えると、国民の間にVAT増税を歓迎する声は少ない。「多くの分野で少しずつ増税するか、特定の分野で大幅に増税するかの選択だ」と、AD紙の取材に対し政府関係者は語っている。

オランダの単一税率導入案

もう一つの案として、現在の複数のVAT税率を廃止し、単一の税率を導入することも検討された。現在、標準税率は21%、軽減税率は9%(食品や医薬品などが対象)、ゼロ税率は一部の国際取引に適用されている。

単一税率を導入すれば、平均して17〜18%程度になると見られている。しかし、政府はこの案を当面見送る方針だ。理由として、単一税率の導入により果物や野菜の価格が大幅に上昇し、国民の間で支持されている「健康的な食品への税制優遇」と矛盾するためだ。

また、9%の軽減税率が適用されている一部の商品やサービスを21%に移行する案もあったが、本や文化活動への増税案が大きな批判を受けたため、この選択肢も見送られた。そのため、政府は標準VAT税率の一律引き上げを選択し、主に「贅沢品」とされる自動車や住宅リフォームのほか、トイレットペーパーや毛布なども対象に含める方針だ。

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