イーロン・マスクの物議を醸す行動が、オランダを含む世界中のテスラオーナーに影響を与えている。最新の調査では、オランダのテスラオーナーの約3割が車の売却を検討しているという結果が明らかになった。この現象の背景には、マスクが政治やソーシャルメディアで見せる態度と行動が大きく関係している。
テスラオーナーの複雑な感情
オランダのニュース番組「EenVandaag」による調査は、26,000人以上のパネルメンバーを対象に実施され、その中で432人のテスラオーナーまたはリース利用者から回答を得た。その結果、40%のテスラドライバーがマスクの行動によりテスラを所有していることに恥ずかしさを感じていると報告した。
不満の原因として挙げられるのは、ヨーロッパ政治への過度な関与や、旧Twitter(現X)上での誤情報の拡散、さらにはトランプ政権との関係である。特に、マスクがドナルド・トランプの選挙キャンペーンに多額の資金を提供し、その見返りとして「政府効率化省」のトップに就任したことは多くの議論を巻き起こした。
あるテスラオーナーは、「イーロン・マスクはその権力を乱用している。彼の行動を知っていたら、テスラを選ばなかっただろう」と語り、車に反マスクのステッカーを貼ることを検討するオーナーもいるという。
対立する視点:マスク支持派の声
一方で、すべてのオーナーがマスクを批判しているわけではない。51%のオーナーは、マスクの行動が自分の車に対する感情にほとんど影響を与えていないと回答し、40%は彼を先見の明のある人物と見なし、テスラを所有していることに誇りを感じている。ある支持者は、「素晴らしい音楽を作った作曲家が悪事を働いたとしても、その音楽の価値が下がるわけではない」と述べ、マスクの業績と人格を切り離して評価する姿勢を見せている。
Xのユーザー離れとソーシャルメディアの影響
マスクが所有するXのユーザーの約46%が、プラットフォームを離れることを検討しているとの結果も得られた。陰謀論や誤情報が溢れる場となり、「有害で憎悪に満ちた媒体」と感じるユーザーが増加している。一部のオランダの政治団体や公的人物はXとの関係を断ち切る決断をしており、「これほど多くの憎悪と誤情報を広めるプラットフォームに貢献したくない」という声もある。
マーク・ザッカーバーグとMetaプラットフォームへの反応
イーロン・マスクの議論だけでなく、マーク・ザッカーバーグが所有するMeta社のプラットフォームについても調査が行われた。ザッカーバーグは最近、ファクトチェックの取り組みを削除し、トランプへの支持を公に表明した。その結果、Facebookユーザーの33%、Instagramユーザーの24%がプラットフォームを離れることを検討している。
テクノロジーリーダーへの期待と課題
マスクやザッカーバーグのような影響力を持つテクノロジーリーダーが、個人的な政治的信条や行動を通じて消費者やユーザーに多大な影響を与えることが改めて明らかになった。多くの人々が彼らの行動を批判しつつも、製品やサービスの優秀さを評価している矛盾が浮き彫りになっている。