EUが2026年までに統一鉄道予約システムを導入を目指す。実現すればヨーロッパの鉄道旅行をより便利で持続可能なものに。

欧州連合(EU)は、2026年までに域内全域で統一された鉄道予約システムの導入を目指している。この提案は、持続可能な交通・観光担当のEU委員候補であるアポストロス・ツィツィコスタス氏によって行われた。現行の複雑な予約プロセスの改善が期待されている。

提案の背景と目的

現在、ヨーロッパ全体を鉄道で旅行する際、乗客は複数の国内鉄道事業者のウェブサイトを行き来しなければならず、長距離の旅程を計画するのが困難となっている。また、異なる国の鉄道事業者間での乗り継ぎに問題が生じた場合、乗客の権利が適用されないため、混乱や追加費用のリスクにさらされている。

例えばイタリアのローマからスペインのバルセロナまで行きたい場合、イタリア国鉄(Trenitalia)とスペインのRenfeを組み合わせる必要がある。それぞれの鉄道会社のウェブサイトで予約しなければならず、列車の時刻表を個別に確認する必要があり、手続きに時間がかかり、乗り継ぎの最適な時間を見逃すリスクが高まる。

また、オランダからベルギーを経由してフランスに行く際、オランダのNS International、ベルギーのSNCB、フランスのSNCFで異なるチケット条件がある。例えば、オランダでは列車に乗る前にチケットをチェックインする必要があるが、ベルギーではその必要がない場合があり、ルールの違いに気づかずに乗車し、罰金を科される可能性がある。

新しい提案は、EU全域でのデジタル予約およびチケット発行プラットフォームの構築を目指している。。ただし、この計画はまだ確定しておらず、欧州議会議員(MEP)の承認が必要となっている。

新しい提案による改善点:

  1. 単一のデジタル予約・チケット発行プラットフォームの創設
  2. クロスボーダーの鉄道旅行を容易にする
  3. 乗客の権利を保護
  4. 持続可能な交通手段としての鉄道利用を促進

過去にも同様の提案があったが、交通事業者や航空会社からの反対により実現しなかった。
また2022年から2023年にかけて、ヨーロッパにおける鉄道および飛行機を使わない旅行の需要が25%増加。この統一システムは、増加する需要に対応し、さらなる鉄道利用の促進につながると期待されている。

新たな提案では、段階的なアプローチを採用し、以前の計画で生じた遅延や意見の相違を回避することを目指している。しかし、27の加盟国の鉄道事業者がデータ共有に協力するかどうか、また各国で異なる軌間の問題など、解決すべき課題が残っている。
この新しいEUの統一予約システムの導入は、欧州全域での鉄道旅行をよりシームレスで効率的にし、持続可能な交通手段としての鉄道の利用促進に寄与することが期待されている。

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