オランダ政府は2024年11月末から国境管理を強化する計画を発表。難民申請者の数を減らすため。

オランダ政府は2024年11月末より、国境での検問を強化することを計画している。これは、同国に流入する亡命申請者の数を削減するための施策の一環である。

政府が漏洩した文書によると、極右政党PVVや憲法改革派NSC、そしてディック・スホーフ首相が11月末までに国境管理を導入することで合意した。これはシェンゲン協定の第25条に基づく一時的な措置で、政治政策や国内治安に深刻な脅威がある場合に認められている。

背景と目的

オランダが施行しようとしている国境管理は、隣国のドイツとベルギーからすでに亡命申請を行った移民を対象とし、これらの「不法移民」を送還することを主な目的としている。これは、シュンゲン協定第25条に基づき、政治的または内部の安全に重大な脅威がある場合に一時的な国境検査を実施できるもの。

具体的な管理方法はまだ明らかになっていないが、主な目的はドイツやベルギーですでに難民申請をした「不法移民」を阻止し、出発国に送り返すこととされている。これにより、今年ドイツが同様の措置を取った際に見られたような国境での渋滞や待ち時間の増加が予想される。

新たな「緊急避難措置法」の導入

国境管理の強化に加え、オランダ政府は「亡命緊急措置法」を導入し、従来の無期限亡命許可を廃止する方針である。また、仮滞在許可の期間を従来の5年から3年に短縮し、シリアの一部地域を「安全地帯」として指定することで、当該地域出身の亡命申請者の帰還を容易にすることも検討している。

さらに、地方自治体に対して亡命許可を持つ人々の受け入れ義務を廃止する方針も盛り込まれている。これにより、オランダ政府は亡命システムを「持続可能な形態」へと再構築することを目指している。

政治的背景と今後の見通し

これらの施策は、PVVやNSCなどの政党と協議のうえで決定され、亡命に関する危機宣言の提案が一度撤回された後の妥協案である。右派政党が主導するオランダ内閣は、この措置が移民問題に対処するための必要不可欠な手段であると主張しているが、一部の批判者は、現在の移民流入状況が「危機」と呼ぶに値しないと主張している。

オランダのこの動きは、EUレベルでの移民政策の厳格化傾向を反映している。ドイツも最近国境管理を再導入し、フランスの新政権も移民に対するより厳しい姿勢を示唆している。長年続いた寛容な移民政策からの転換が、EU全体で進んでいるようだ。

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