2024年には、オランダで生活および仕事をしている人々に影響を与える多くの新しい法律や規制が施行される。
新しい所得税率
オランダの税法は、課税対象となる3タイプに分類される。 Box1は、住宅の所有または雇用に関連する収入、給与、事業利益、年金、通常の給付および所有者が占有する不動産に関するもの。 Box2は実質的な受取利息、Box3は投資と貯蓄からの収入となる。オランダ政府は2024年のBox1、Box2、およびBox3の所得に対する税率と控除を調整。
- Box 1の税金(給与からの所得)の税率は以下の通りとなる:
- 75,518ユーロまでの所得には36.97%の税率が適用。
- 75,518ユーロを超える所得には49.5%の税率が適用。
- 有限会社の利子に対するBox 2の税金は変更され、全収益に対して26.90%から段階的な税率に変更される:
- 67,000ユーロまでの収益には24.5%の税率が適用。
- 67,000ユーロを超える収益には33%の税率が適用。
Box 3の税率は、貯蓄や投資からの所得に対するもので、32%から36%に引き上げられる。
30%ルールの削減
オランダ政府は、オランダで働くためにやってくる高度な技能を持つ移民に対する税制優遇措置である30%ルールを大幅に削減する方針である。現行では、30%ルールの受給者は60か月間、給与の30%を課税対象から免除できる。新しい計画では、これが20か月に削減され、次の20か月は20%の税金免除が適用され、その後の20か月は10%の免除が適用されることになる。
この修正案はまだ上院の承認を得る必要がある。承認されれば、2024年1月1日以降の新しい申請に対して遡及的に適用される見込みである。
時間給最低賃金が発効
2024年からオランダの最低賃金に関する変更が発効し、法定の最低時間給および最低月給、週給、日給が廃止される。
これにより、2024年1月1日から雇用主は従業員に対して少なくとも法定の最低時間給である13.27ユーロを支払わなければならない。週に36時間働く人にとっては、これが月額2,700ユーロに相当。この変更は、週に36時間働く場合でも週に40時間働く場合と同じ給与を受け取るという月額最低賃金モデルによって生じる不均衡を解消するために変更される。
通勤手当の増額
2024年1月1日から、最大の非課税通勤手当がわずかに増額される。これにより、従業員は税金の節約を少し大きくすることができる。また雇用主は23セント/キロメートル以上の通勤手当を提供することを選択することができるが、その場合、手当は従業員の給与パッケージの一部と見なされる。
社会保障、手当の変更、健康保険料が増加
オランダで手当を受け取っている場合は、新年にこれらの変更に注意が必要、またオランダのすべての健康保険会社は来年に保険料をを引き上げる。主要な保険会社は基本プランの費用を約8ユーロ/月引き上げる。自己負担額は385ユーロのままとなる。
健康保険手当の増額が期限切れに
2023年に、低所得者支援を向上させるためにオランダ政府は健康保険手当を増額。しかし、2024年にはこの特別措置が期限切れとなり、最大健康保険手当は154ユーロから123ユーロ/月に減額される。
年金の受給年齢の変更
2024年から、オランダの年金の受給資格年齢は66歳10か月から67歳に引き上げられる。その後、2027年まで67歳のままとなり、2028年には67歳3か月に上昇する予定。
保育手当の増加
オランダ政府は、オランダの登録された保育施設に通う子供を持つ働く親に支給される保育手当を増額する。政府は、保育所の最大時給補助が9.65ユーロ、放課後保育が8.30ユーロ、子守りのケアが7.24ユーロまで上がると発表。保育費用が最大補助を超える場合は、差額を自己負担する必要がある。もしも保育費が安い場合は、政府は請求される時給のみを補償。
エネルギー価格上限の廃止
2023年にはエネルギー価格上限が設けられており、電気とガスのコストを引き下げていた。しかし、この制限は2024年1月1日に切れ、消費者は自ら高い請求書を支払うことになる可能性がある。平均消費量の程度の一家族では月額約13ユーロ増加する見込みとされている。
ソフトドリンク、フルーツジュース、オートミルクなどの値上げ
健康的な飲料製品の選択を促進するために、政府は非アルコール飲料に対する「レモネード税」(非アルコール飲料に課される税金の俗称で、健康的な選択を奨励し、糖分の摂取を抑制するために、特に炭酸飲料や果物ジュースなどの甘い飲料に対して課される税金)を引き上げる。ただし、炭酸飲料だけでなく、植物性の乳製品の代替品であるオートミルクなども対象で、来年のコストは1リットルあたり17セント上昇。また水分摂取を奨励するために、政府はミネラルウォーターに対する消費税を廃止する。
飛行税の増加
2024年には航空券が高くなり、飛行税は2023年の26.43ユーロから28.58ユーロに増加。2024年の税率は2022年の4倍になる見込み。
アルコールおよびタバコ税の増加
アルコールおよびタバコに対しては高い税金が課せられる。ビール1ケースは約27セント、ワイン1本は約7セント高くなる。
2024年4月からは、タバコの1パックの価格は約11.10ユーロに上がる。
また2024年1月1日から、オランダのスーパーマーケット大手であるアルバート・ハインは、全国的な法令が発効する6か月前に、タバコとその他のタバコ製品の販売を停止する。2024年7月からは、タバコはガソリンスタンドとタバコ店でのみ購入できることになる。さらに、2030年からはタバコ店のみでの販売となる予定。
風味付き電子タバコの禁止
2024年1月1日から、オランダの店舗は風味付きの電子タバコを販売することは許可されなくなる。これにより、甘いまたはフルーティーな風味を含むリキッドを含む電子タバコが禁止に。これは電子タバコが子供や若者に普及することを防ぐための政府の取り組みの一環となる。
親が子供に複合姓を付けることができるように
2024年から、オランダで生まれた子供は両親の姓を併せ持つことができるようになる。以前は、親は出生証明書の申請時に子供のために片方のパートナーの姓を選択する必要があったが、これからは複合姓を使用することが可能となる。
交通違反の罰金が増加
来年、交通違反の罰金は増額される。例えば、シートベルトを着用していない場合、180ユーロ(以前は160ユーロ)の罰金が課せられる。運転中に携帯電話を使用すると、罰金は420ユーロに増額する(以前は380ユーロ)など運転の際はより注意が求められる。