3年前に美術館から盗まれたフィンセント・ファン・ゴッホの絵画が、「美術探偵」アーサー・ブランド氏の介入によって取り戻された。
1884年に描かれたゴッホの初期作品のひとつである『春のヌエネンの牧師館の庭』は、2020年3月にラレンのシンガー美術館から持ち去られた。当時はグローニンガー美術館から貸し出されていた。その1年後、ユトレヒト州バールン出身のニルス・Mは、DNA証拠を使って足取りを突き止められ、1700万ユーロ相当の絵画2点を盗んだ罪で起訴され、懲役8年の判決を受けた。さらにゴッホを盗んだ6ヵ月後、M.はレルダムにあるホフィエ・ファン・メヴルー・ファン・アーデン美術館に侵入し、フランス・ハルスの絵画『ビールジョッキを持った二人の笑う少年』を持ち去ったことが判明した。
取り戻された絵画の状態はそれなりに良かったという。少し傷んでいるが、修復可能ということである。
ブランド氏は警察に知られた上で、裏社会の人脈を通じて盗まれた絵画を手に入れたと語っている。ブランド氏は、作品にアクセスできるという男からメールを送られ、闇に紛れてアムステルダムでの待ち合わせを手配したという。2日後、彼はイケアの袋に入った絵を持ってブランドの家の前に現れた。ブランドは、2年前に絵画の返還を試みたが、アメルスフォールトに拠点を置く麻薬組織との密談が決裂し、失敗に終わったと語った。しかし、彼は作品が戻ってくることを常に確信し、捜査を進め今回の返却に至ったいう。
今回の事件で「美術探偵」に注目が集まった。その活動内容はどの様なものか。「美術探偵」という言葉は、美術品や文化財の調査、鑑定、復元、盗難品の捜査など、美術品に関連するさまざまな活動を行う専門家や熟練者を指す用語である。美術探偵は美術館、博物館、オークションハウス、個人コレクター、保険会社、法執行機関など、美術品の管理、評価、保護に関与する機関や個人に対してサービスを提供。
- 美術品の鑑定: 美術品の真贋、作者、制作年代、歴史的背景などを専門知識を用いて評価。
- 美術品の調査: 美術品の歴史的な背景や証拠を調査し、正確なプロバナンス(所有経緯)を確立。
- 美術品の復元: 損傷した美術品の修復や復元作業を行います。美術品の元の状態に戻すことを目指す。
- 盗難美術品の捜査: 盗まれた美術品の捜査と回収を行い、法執行機関と連携して犯罪者を追求。
- 美術品の保護: 美術品の適切な保存方法や展示方法を提案し、美術品を環境的な損傷から保護する。
- 骨董市場やオークションの支援: 美術品の取引や投資に関するアドバイスを提供し、顧客をリスクから保護する。
美術探偵は、美術品の専門知識と調査能力を駆使して、美術品市場での詐欺や盗難の防止、美術品の保護、文化財の保存などに貢献する。彼らはしばしば美術品鑑定士、美術史家、保険鑑定士、法律家と連携し、専門知識と経験を提供し活動する。