スキポール空港縮小計画により、減便などの理由により航空券の価格が5〜10％程度、値上がりすると予測。アメリカはこの計画に対抗措置をとると警告。

オランダの国土交通省は、スキポール空港の縮小計画の代償を消費者が支払うことになるだろうと予測している。同空港の便数削減により航空券は割高になり、ドイツやベルギーなど隣国の空港を利用する旅行者や航空会社が増えると同省は予想している。

また、乗り継ぎ客はより長く待たなければならず、スキポール空港から利用できる目的地も少なくなるとしている。さらにスキポール空港周辺での雇用が失われ、税収が減り、手当の支出が増えると予想している。そして航空券の価格は平均5〜10％上昇すると予想されている。

KLMオランダ航空は、スキポール空港の縮小がどのような結果をもたらすかについては、計画がはっきりするまではコメントしないとしている。KLMは以前、運航便数の削減は少なくとも、日本（関西便)を含む30都市を犠牲にすることになると警告していた。

この縮小計画は最近、オランダが米EU航空輸送協定に違反しているとスキポール空港を非難し、アメリカの航空会社が同空港の発着枠を失うことで、オランダとアメリカの航空会社の協力関係にひずみが生じると示唆したアメリカの反感を買った。アメリカは対抗措置を行うと警告している。

スキポール空港の発着枠削減計画に関する情報を整理すると、以下の流れと現在なっている。

1. オランダ政府の発着枠削減計画：オランダ政府は、環境への配慮や気候変動対策として、スキポール空港の発着枠を年間50万回から46万回に制限する計画「グリーンキャップ」を推進。
2. KLMオランダ航空の立場：KLMオランダ航空は、次世代航空機や持続可能な航空燃料（SAF）の導入などにより、発着枠の削減なしに騒音や二酸化炭素（CO2）の排出量を削減できると主張しており、この政策を撤回するよう求めて裁判を行っている。
3. 裁判結果：2023年7月、高等裁判所はオランダ政府の計画を支持し、発着枠削減計画を進める方針を確認。
4. アメリカ運輸省（DOT）の警告：DOTは、オランダ政府の計画がアメリカとの間で成立しているオープンスカイ協定に違反する可能性があると警告。仮に政策が実行された場合、アメリカ便の発着枠を削減する可能性を示唆した。
5. 航空会社の反対：多くの航空会社がこの計画に反対しており、発着枠削減が彼らの業務に影響を及ぼすことを懸念している。
6. 最高裁判決への期待：現在、エアライン側は控訴しており、今後の最高裁での判決が大きく注目されている。

この問題は環境と航空業界の利益の間でのバランスを探る難しい課題となっており、法的な争いや交渉が続いており、今後の展開に注目が集まっている。