オランダの鉄道会社・ネザーランド・スプールヴェーゲン社(以下、NS社)にとって、今週は大変な一週間となった。国会で鉄道事業者からの提案によるラッシュアワーのピーク時の乗車券の値上げ計画が審議された。NS社は以前からラッシュアワー料金を推進してきた。NSは2026年までにこの料金を導入したいと表明。その目的は、ピーク時間帯は列車が混雑することが多く、逆にオフピーク時間帯は利用者が少ない為、ラッシュアワー以外の時間帯の利用を促すことである。
またNS社はロッテルダム-スキポール空港間、ハーレム-アムステルダム間、ロッテルダム-ハーグ間、ヒルヴェルスム-ユトレヒト間の主要路線で列車本数を増やし、2025年から鉄道サービスをさらに拡大することを計画。また、アムステルダム中央駅とスキポール空港を結ぶ列車を7分半間隔で運行する新エアポート・スプリンターも開始する予定。
オランダの都市や町を結ぶ国内サービスの拡大に加え、NS社はベルギー国鉄(NMBS)と共同で、2025年からオランダとブリュッセル間を結ぶ列車の運行本数を1日16本から32本に倍増させることを明らかにした。さらに、より高速の列車を導入し、所要時間を約45分短縮する。
NS社の国際便の一部が拡大される一方で、同社はオランダ国外の都市へ運行するほとんどの便を独占することはなくなる。その代わり、政府は「国際線を利用する旅行者の選択肢を増やす」ことを望んでいる。政府の説明によると、「ベルリン、ロンドン、パリ、フランクフルトへの乗り継ぎはNSとの契約に含まれなくなる」。そのため、他の国際航空会社は、オランダとヨーロッパの都市を結ぶより多くのサービスを運営する機会を与えられることになる。その結果、オランダからの国際的な鉄道接続が増えることになる見込みである。しかしその影響により国内線の運行時間の乱れや遅延の増加も懸念されている。
近年、NS社は何度も財政的な挫折に直面している。2020年以降、鉄道の利用者は大幅に減少している。加えて、NS社はエネルギーコストの上昇にも悩まされている。NS社とオランダ政府は将来のための計画を立てているが、鉄道事業者はコロナウイルスのパンデミック以前に比べて乗客数が大幅に減少している。2023年にNSを利用する旅客数は2019年と比較して毎日約20万人減。政府は年間1,300万ユーロの補助金を拠出することを決定した。また政府からの資金援助に加え、NS社は2024年と2026年にチケット価格を3.5%値上げする許可を得ている。