日本にも展開している、「自転車業界のテスラ」とされている、オランダ発の電動自転車VanMoofが経営難の危機。

オランダ発の人気の電動自転車VanMoofが経営難に陥っている。過去数年間で急速に成長を遂げたVanMoofは、革新的な製品と独自のブランド戦略により、日本を含む世界8都市で店舗展開しており、世界中で人気を集めてきた。しかし、オランダのアムステルダム地方裁判所の報道官は、VanMoofがクラウドファンディングプラットフォームに利息の支払いを延期する許可を申請したことを確認し、支払いに対する許可を受けたと述べた。この支払いの延期は通常、破産の前兆とされている。特別に任命された裁判所の管理人は、VanMoofを存続させるために同社の経営陣と解決策を見つけるために努力しているという。

同社は声明の中で、「私たちはサービスを継続するために一生懸命取り組んでおり、配送や修理に関して保留中の注文については、できるだけ早く個別にお客様に連絡いたします。」と述べている。また、数十のVanMoof店舗が閉鎖されるように命じられた。

同社は最近、新しい自転車の販売を停止すると発表し、複数のメディアが企業内の財務不安について報じていた。これを受けVanMoofは直ちにコメントを出すことはなかった。

同社のウェブサイトに掲示されたメッセージでは、販売の停止は一時的なものであり、既存の注文の生産と配送を追いつかせるために必要とされていると説明。

複数のメディアが、同社が財務上の問題に直面していると報じており、今週、崩壊を防ぐためにVanMoofが新たな資金調達を急いでいるとされ、クラウドファンディングプラットフォームが利息の支払いを怠ったVanMoofに対して法的措置を取っていると報じられていた。

VanMoofは2009年に誕生し、タコ・カーリエとティーズ・カーリエ兄弟によって「完璧な都市用自転車」を作るために設立された。その特徴はミニマリストなデザインで、数年後、同社は展開する自転車の全てを完全に電動自転車に切り替えた。さらに、デザインと製造プロセスを再構築する自転車メーカーとしての地位を確立。スマートフォンの専用アプリと連動して鍵の解錠や各種設定が行え、その革新的な試みは自転車業界のテスラと称されていた。

自転車の部品の多くは、VanMoof自社のパーツで作られており、これが財務上の弱点であった。そのために多額の投資が必要で、同社は過去数年間で数千万ユーロの損失を被り、新たな投資家の誘致でそのギャップを埋める必要があった。

これは自社のデザインと製造プロセスへの大きな投資に起因していたが、保証期間中にカバーされる修理費用の増加も影響が大きいとされている。現在、VanMoofの故障した電動自転車に関する多くの苦情がソーシャルメディアで共有されてる。

2021年だけで、同社は売上高6,560万ユーロを上げたにもかかわらず、7780万ユーロの赤字となっていた。昨年も同程度の赤字が予想されていた。実際には2023年1月に発表された2021年の予備年次報告書では、VanMoofは自社の存続が不確実であると懸念されていた。VanMoofの存続には、同社に再び資金を投じる投資家や金融機関の意欲にかかっているとされている。