アムステルダムが住民を惹きつけ、人気の居住場所であることを何十年も続けてきたが、そのトレンドが変わってきているという。ここ数年、アムステルダム都市圏からオランダの他の地域へ移住するオランダ人が増加傾向である。オランダの銀行・ラボバンクは、アムステルダム都市圏の生活満足度に関する調査の中で、アムステルダムの住民はオランダの他の地域で見つけることができる家よりも小さく、手入れの行き届いていない住宅に高いお金を払うことにもはや満足していないと報告している。
同銀行によると、トレンドの転換は2017年に始まったという。アムステルダムの住民は主に居住スペースの狭さや家の修繕状態から、自分の家に不満を持っている人が多い。そのため、オランダの別の場所に目を向ける傾向にある人が多く、アムステルダムの自治体では、特に30代以上で、同棲、結婚などの理由により転居者が転入者を大幅に上回っているという。また学生、17歳から24歳の若者と、25歳から29歳の若年層だけが、アムステルダムを離れてオランダの他の地域に移るよりも、アムステルダムに居住を希望する頻度がまだ高いとされている。
これは都市の機能のあり方に一因がある。教育、キャリア、レクリエーション、自己啓発の面でより多くの機会を提供するため、若者にとってアムステルダムは非常に魅力的な都市である。一方、子どものいる家庭では穏やかで広々とした安全な住環境を求め、郊外を選ぶことが多くなる傾向で、その流れはここ数年で加速しているとされる。
またここ数年、アムステルダムの住宅価格は大きく上昇しており、家を探すのも困難な状況にある。平均的にオランダでは25軒に1軒以上の割合で100万ユーロ以上(約1億5000万円)の住宅価値がある。100万ユーロ以上の住宅が最も多い都市はアムステルダムで、最も多い通りは、Keizersgrachtには100万ユーロ以上の家が579軒、Prinzengrachtで495軒、Valeriusstraatの360軒である。昨年、アムステルダムで最も高価な家が立ち並ぶ通りとされたのは、Oranje Nassaulaanで通りの平均住宅価格は、約250万ユーロであった。