フェルメールの名画、「真珠の耳飾りの少女」は現在、アムステルダム国立美術館のフェルメール展の為、マウリッツハイス美術館から3月30日まで貸し出されている。マウリッツハイス美術館は、フェルメール展の期間中、フェルメールの絵からインスピレーションを受けた「あなただけの少女」を一般に募集し、その絵を飾ることになった。
マウリッツハイス美術館によると、この企画は多くの関心を寄せ、写真、彫刻、絵画、さらには野菜で製作されたものなど、3,482点もの作品が応募された。その中から審査員によって5点が選ばれ、美術館に展示されることになった。
選ばれた作品のひとつに、ドイツ人アーティストのJulian van Dieken氏の「光る耳飾りの少女」と題された肖像画が論争を巻き起こしている。彼の作品は、テキストの記述や指示から画像を作成することができる人工知能プログラム「Midjourney」を使って制作、さらにPhotoshopで仕上がりを微調整し完成させた。
AIが生成したアートを取り上げたことで、アート界では賛否両論が巻き起こっている。専門家は「Midjourney」のようなプログラムは、何百万人ものアーティストの作品を、彼らの許可なく使用し、彼らのスタイルをコピーして新しいものを作り出していると主張。業界内ではこの技術を寄生的で「非倫理的」であるとする声もある。
「Midjourney」はデータセットから画像を生成する。例えば、「フェルメールのような、きらびやかなイヤリングをつけた美しい少女の肖像画を描いてください。」というテキストをAIに与えると、データセットから画像を作成。現時点で、AIは無から有を生み出すことができず、与えられたものをコピーして組み合わせることしかできない。そして、そのデータセットは一般的に、作者の許可なく使用された数十億の画像で構成されている。このデータセットが、これらのプログラムをめぐる論争の主な原因となっている。
反発を受け、マウリッツハイス美術館の広報担当者は、アート作品は審査員が気に入ったものを選んでいると説明。同美術館で最も有名な絵画が不在の中、今回の騒動でこのマウリッツハイス美術館は注目を集めることとなった。