1月17日、オランダのルッテ首相はアメリカのホワイトハウスでバイデン大統領と会談し、オランダのASML社の深紫外線(DUV)露光機の中国への販売について輸出規制の可能性について議論した。報道によると、1月27日にアメリカ、日本、オランダの間でそのための合意がなされた。合意の詳細は公表されていないが、日本とオランダはアメリカの制裁の概要にほぼ従うことになると予想される。
オランダ・フェルトホーフェンに本社を構える半導体製造装置メーカーASMLは半導体露光機の市場で約8割のシェアを占める。最新技術を支えるマイクロチップの製造に欠かせない、半導体サプライチェーンの要となる存在である。
コロナウィルスの流行、その後に続くロシアのウクライナ侵攻により「グローバル化」という概念が突然、大きく揺らいでいる。先進国は世界的な貿易網を構築し、自由貿易のシステムを通じて最も効率的な分業を実現できると考えていたが、実はサプライチェーンが脆弱であることに気づかされた。グローバリゼーションは公平な競争条件とルールに基づく国際秩序に大きく依存している。そして、そこに中国との問題がある。
先進国は中国がより自由で開放的な社会になることを期待して、自国の市場や知識制度を開放した。しかし、実際にはその逆が起きている。中国はより独裁的になり、現在「メイド・イン・チャイナ2025」や同様の政策を通じて、欧米の知識や技術への依存度が低下するよう懸命に努力しているが、一方で欧米の製品や市場に対する中国の依存度は高まっている。
このような状況はオランダ、ASMLとその製品にとってどのような意味を持つのか。オランダと中国は経済の完全な切り離しはおそらく不可能だが、オランダは中国が近隣諸国にもたらす軍事的拡大や脅威、そして自国民やチベット人、ウイグル人といった少数民族への弾圧において重要な役割を果たすハイテク分野において、中国が急速に成長するためにオランダの技術や知識を輸出するのかどうか迫られている。
中国に深紫外線(DUV)露光機を供給し続けることで中国が高度なチップの生産を急速に拡大し、軍のミサイル、戦闘機などを大幅に増加させることができるようになる。中国は最新の兵器システムに新しいチップを組み込んでいる最中であり、中国企業がすぐにこれらの技術を模倣し、さらに技術を開発する将来、東アジアの平和と安全に対する脅威はますます大きくなっていくだろうと予想されている。
企業利益を追求する中で国際ルールを守り、世界の平和、安全、人権に尽力する国々で半導体生産のエコシステムを構築することが求められており、オランダと日本の企業は同様にアメリカと中国の政治的、経済的な思惑に板挟みの状態である。