バルセロナやアテネなどヨーロッパの人気の都市への航空券は、増税とEUの排ガス規制により、今年は50ユーロほど高くなりそうである。
オランダの空港出国税は1月1日に8ユーロから26ユーロに引き上げられ、EUは2030年までに二酸化炭素の排出量を55%以上削減することを目指しているため、免税など航空業界への優遇措置を打ち切ろうとしている。ABNアムロ銀行の調査によると、この新しい規則の複合効果により、ニース、バルセロナ、ローマ、アテネなどへの往復フライトの価格は50〜60ユーロ高くなるという。
実際の価格は2026年以降さらに高くなる可能性がある。ABNアムロ銀行は今後数年間はEU内の航空券はさらに上昇すると見込んでおり、どの程度になるかを予測するのは困難で、需要と供給次第と述べている。また政府は今年スキポール空港を縮小し、より少ないフライトを計画。その結果、価格も上昇する可能性が高い。
また欧州の排出権対策の副作用として、EU圏外へのフライトがより一般的になる可能性が挙げられる。このEUの排出権取引はヨーロッパの空港間のフライトにしか適用されないからである。その結果、欧州の排出権取引制度に参加していない国へのフライトがより魅力的になるという予測もある。ヨーロッパの航空業界は長年にわたって優遇されてきた。今回の措置により旅行者は飛行機、列車、車、バスと様々な選択肢から最良の移動方法を選択することとなるが、現時点で人々の飛行機離れを招いている大きな兆候はない様である。